開発元 Optiwave社

OptiSystem Version 13.0

OptiSystem 13 には、非常に数多く重要な新機能が開発されました。 その中には、レーザーの内部挙動を解析する新しい方法(TLLM)やDFBレーザーモデル、実測レーザーモデル(Empirical Laser)などが挙げられます。また、いくつかの非常に便利且つ重要なアナライザーが追加されたほか、フィルター機能の改善によって零符号間干渉(0 ISI)の解析が実現されました。

今回のリリースにより、OptiSystemは半導体レーザーにおける光通信システムのシミュレーションをより高精度・高効率で行えることが期待されております。

下記の新機能リストをご覧ください。

リリース日:2014年9月

新しいレーザー解析法:TLLM

TLLM は、Transmission Line Laser Model の略です。伝達線路マトリクス法(Transmission Line Matrix Method)に基いて開発されたレーザー内部のフォトン・電子間の相互作用を解析する数値解析法です。

TLLMは、レーザーのレート方程式を時間と共振器の縦方向を離散化してシミュレーションします。空間的ホールバーニング、2光子吸収のような非線形現象や高速過渡現象を解析できます。

従来のSpatial Averaged Multimode Modelより、TLLMはより解析精度が向上します。ただし、解析時間が多少長くなります。

下図は、TLLMの原理の概略を示しています。


Febry-Perotレーザーの機能強化

Febry-Perotレーザーは、従来の Spatial Averaged Multimode Model(SAMM)が搭載されております。ここの“Multimode”はマルチ縦モードのこととなります。マルチ横モードではありません。

本バージョンより、新しく開発されたTLLMが追加されました。ユーザーは、解析状況によってSAMMとTLLMを選択することができます。

下図は、Febry-PerotレーザーのGUIの一部を示しています。

下図は、Febry-Perotレーザーの解析例を示しています。For the TLMLM, due to the bandwidth of the gain, the slightly larger gain at the central frequency will amplify its power much more than the others as the wave travels back and forth through the cavity.

新しいDFBレーザー(分布帰還型レーザー)

新規追加されたDFBレーザーは、Febry-Perotレーザーと同様に、SAMMとTLLMとの二つの解析方法が搭載されております。回折格子のパラメータの入力や、単一モード化のための1/4λ位相シフトの設定が可能です。

新しいEmpiricalレーザー(実測データレーザー)

Empiricalレーザーは、実測データ(または製品仕様書データ)に基いたレーザーモデルです。温度およびバイアス電流におけるLIデータ及びS21(変調特性の測定データ)を入力することによって、レーザーの温度特性/注入電流特性/変調特性を忠実に再現できます。

Empiricalレーザーは、高速光通信にとって重要な変調周波数特性における振幅特性と位相特性を両方解析できます。

新しいSet OSNR

Set OSNR素子は、光信号対光ノイズのレシオの設定を行います。これによって、BER対OSNRの解析モデルを効率的に構築できるようになりました。

新しいDSP:Universal DSP

Universal DSP は次の変調方式に対応できる統合したDSPです。また、非線形分散補償とローパス・フィルターも含まれております。

・BPSK/QPSK/8PSK/16PSK
・16QAM/64QAM

次のリリースでは、対応する変調方式に128QAM/256QAMが追加される予定です。

"DSP for 16QAM"と"DSP for PSK"の機能強化

"DSP for 16QAM"と"DSP for PSK"は、“Universal DSP”と機能的に全く同じものとなります。過去のバージョンで作成されたファイルとの互換性を考慮して、機能アップして存続しました。 新規でOptiSystemファイルを作成する際、Universal DSP を利用してください。

非線形分散補償およびローパス・フィルターが追加されました。

Decisionの機能強化

Decisionは、Universal DSPと同じように次の変調方式に対応できるようになりました。

・BPSK/QPSK/8PSK/16PSK
・16QAM/64QAM

新しいPAM Decision

パルス振幅変調(PAM)Decisionが追加されました。“Decision”と同様の処理を行います。

新しいDACとADC

より現実に近く高精度な解析を行うため、デジタル⇔アナログ・コンバーターが追加されました。

PIN Photodiodeの機能強化

PIN Photodiodeには、ノイズモデルが改善されたほか、いくつかの重要な解析結果(ノイズ等価パワーなど)が追加されました。これによって、最新の高速変調用光検出器(>25GHz)をより高精度でモデリングできるようになりました。

TIA(トランスインピーダンスアンプ)の機能強化

TIAには、次のように機能強化されました。これによって、最新の高速変調用光検出器(>25GHz)をより高精度でモデリングできるようになりました。

・アンプ特性の計算方法を追加
・ノイズ特性の計算を追加
・周波数応答特性を追加
・新しい計算結果(等価負荷インピーダンスや変調バンド幅など)を追加

新しい90 Degree Optical Hybrid

90 Degree Optical Hybridは、コヒーレント光通信方式のために追加されました。

新しい電気フィルター

新しい電気フィルター(Low Pass Inverse Gaussian, Low Pass Inverse Sinc, Band-Pass Inverse Gaussian および Band-Pass Inverse Sinc filter)が追加されました。

新しい光学フィルター

新しい光学フィルター(Inverse Gaussian, Inverse Sinc および Raised Cosine/Root Raised Cosine filter)が追加されました。

Raised cosine pulse generatorの機能強化

ナイキスト伝送システムに対応するため、Raised cosine pulse generatorの機能は強化されました。下記の解析事例は、5x112 Gb/s DP-16QAM channelsのWDMナイキスト光通信システムです。

Square-Root Raised Cosine が、オプションとして設定できます。

Low Pass/Band Pass Raised Cosine Filterの機能強化

ナイキスト伝送システムに対応するため、Low Pass/Band Pass Raised Cosine Filterの機能は強化されました。

Square-Root Raised Cosine が、オプションとして設定できます。

下図は、Raised cosine pulse generatorまたはLow Pass Raised Cosine Filterを利用して零符号間干渉(0ISI)が実現している解析例です。

Measured-Index Multimode Fiberの機能強化

Measured-Index Multimode Fiber素子は、ドーパント濃度分布からファイバーの屈折率分布を自動算出する機能が追加されました。

Encircled Flux Analyzerの機能強化

マルチモード同士の結合効果による総合の光フィールドのEncircled Fluxが計算できるようになりました。

Spatial Visualizerの機能強化

マルチモード同士の結合効果による総合の光フィールドが表示できるようになりました。

新しいLightwave Analyzer

Lightwave Analyzerは、変調周波数応答解析のためのあらゆる光/電気の入力・出力に対応できる新しいアナライザーです。光-光、光-電気、電気-光、および電気-電気端子間の周波数応答特性(振幅と位相)を測定します。

光通信システムにおいて、レーザー素子からPIN/TIAまでの応答特性を効率的に解析して、実測データと比較することができます。

新しいDirectly Detected Eye Analyzer Visualizer

このビジュライザーは、Eye Diagram Visualizerと同じ機能を持っていますが、入力信号に関しては光信号になります。バイナリ参照信号と光信号を入力設定すれば、電気信号に変換することなく、光信号のアイ・パターンを直に表示することができます。

新しいマルチ・スレッド機能

Parameter sweepingのための Multi-threading 機能が追加されました。パラメータの繰り返し計算が設定された場合、この機能は各計算イベントを各スレッドに分配して同時に複数の処理を行えるようになりました。この機能によって、解析時間が大幅に短縮することができます。特に繰り返し計算回数が100回以上の場合、効果が著しく上がります。

コンポーネントの検索機能

今まで、日本語Windows OSの場合、Component Search機能は使えませんでしたが、OptiSystem 13より、このバグが修正されました。

この機能によって、コンポーネントへのアクセス効率が格段に改善されます。関連性のあるコンポーネント(共通するキーワードを持つ)がすべてリストアップされ、OptiSystemの稼働効率およびユーザーの機能習得がはるかに向上することが期待されます。また、検索で表示されたComponentの上をダブル・クリックすると、左のComponent Library画面がクリックされたComponentの所在フォルダに切り替わります。

← 前のページに戻る  ↑このページのトップに戻る