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OptiBPMと CODE V を使った光デバイスのシミュレーション

(1) はじめに

光デバイスの設計や解析を行うツールには、対象とするデバイスの種類や物理現象、 内部で使用しているアルゴリズムに応じて非常にたくさんのソフトウェアが存在します。近年、光デバイスの多用化にともない、複数のソフトウェアを連携させてデバイス全体の解析を行なう必要性が高まりつつあります。
ここでは、導波路解析ソフトウェアOptiBPM と光学設計・評価プログラムCODE V を連携させ、レンズ系と導波路を組み合わせたモデルの解析例をご紹介いたします。

(2) OptiBPM とCODE V 間のデータ受け渡し

OptiBPM 5.2 とCODE V 9.2より、お互いの複素振幅フィールドデータを受け渡しすることができるようになりました。OptiBPMではBPM法で導波路の伝搬シミュレーションを行ない、結果をテキストファイルに出力します。同様に、CODE Vでもビーム伝搬オプションの解析結果をテキストファイルに出力することができます。両ソフトウェアとも入射光をデータファイルで指定できるので、この機能を利用してデータの受け渡しを行ないます。(図1)


図1 OptiBPMと CODE V のデータ互換

これにより、CODE Vで設計したレンズ系を通った光を OptiBPM の導波路モデルに入射したり、OptiBPMで作成した導波路からの出射光をCODE Vのレンズ系で集光させることが可能になります。

(3) CODE V Converter

OptiBPM のデータファイル(.f3d) もCODE Vのデータファイル(.dat) ファイルもテキスト形式のデータですが、書式が異なります。この書式を変換するツールが CODE V Converter です。
CODE V Converter は OptiBPM (Ver. 5.2以降) の OptiBPM Tools というツール集に収録されています。(図2)


図2 OptiBPM Tools

CODE V Converter のダイアログボックスでは、データ変換の方向(OptiBPM <=> CODE V)と、波長の値(OptiBPM => CODE Vに変換する場合のみ)を入力します。解析領域のサイズやデータ点の数は元のファイルの情報のまま変換しますので、あらかじめOptiBPM と CODE V の両モデルでこれらのパラメータの設定を合わせておく必要があります。


図3 CODE V Converter

(4)直線導波路とボールレンズの解析

ここでは、直線導波路の前後にボールレンズカプラを配置したモデルの解析を行います。(図4)


図4 直線導波路とレンズの解析

まず、CODE V のビーム伝搬オプションで図5のようなボールレンズカプラの解析を行います。入射光として波長1.55μm、半値幅が 4.25μmのガウシアンビームを入射し、像面での光の分布をデータファイルに書き出します。CODE V ではOFEXPORTマクロを利用して、バッファに格納されているフィールドデータをテキストファイルに出力することができます。
今回は以下のようなコマンドを使い、解析とデータ出力を行ないました。レンズの球面収差の影響で、強度分布がガウス分布ではなくなってしまっていることがわかります。


図5 CODE V でのレンズAの解析

でき上がった coupler256.dat ファイルを CODE V Converter でOptiBPM 形式のファイルに変換し、 OptiBPM に渡します。
OptiBPMでは、コアが4×8μm、長さ1mmのシングルモード導波路を作成し、 CODE Vで計算した結果を入射します。導波路の入射端では、入射光の分布と導波路のモード形状が一致しないため、結合損失が起きます。導波路終端での分布は図6のようになります。


図6 OptiBPM での導波路解析

最後に、OptiBPMで出力したデータをCODE V のデータ形式に変換し、ボールレンズカプラに入射します。モデルとビーム伝搬オプションの解析結果は図7をご覧下さい。導波路終端では楕円形に近かった光の分布が、ほぼ円形に近い分布になったことが確認できます。


図7 CODE V でのレンズBの解析

(5)VBスクリプトを利用したテーパ導波路の解析

次に OptiBPM VBスクリプト機能を利用し、繰り返し計算を行なった例をご紹介します。
ここではCODE V でコリメートレンズを使ったレンズ系を作成し、レーザのビームを集光した時のデータを作成します。(図8)


図8 CODE V でのレンズシステムの解析

OptiBPM では図9のようなテーパ導波路を作成し、導波路入り口の幅を16〜8μmまで変えながら5回繰り返し計算を行ないます。また、導波路終端を伝搬する光のパワーを出力するように設定しておくと、導波路の幅に応じて入射光がどの程度損失するかを計算後に確認することができます。


図9 スクリプトを利用した繰り返し計算

(6)おわりに

以上のように、両ソフトウェアを連携して使うことで、レンズと導波路の両方を含むデバイスの解析を行なうことができます。詳細な操作方法につきましては、それぞれのソフトウェアのマニュアルをご参照下さい。
なお、OptiBPMは、FDTD法で光の伝搬シミュレーションを行なう OptiFDTD や、光システム全体の特性をシミュレーションする OptiSystem とも連携機能を持っており、これらのソフトウェアを組み合わせることで、さらに広い用途で解析を行なうことが可能です。
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